シロアリの駆除薬は安全か?人体が受ける影響は?
住宅を建てる時に一定の性能を有するかどうかを判断する指標には、「フラット35」や「長期優良住宅」の仕様規定があります。そこには耐久性を高める規定として防腐防蟻対策を施さなくてはならないと決められています。現在ほとんどの新築住宅では、フラット35の融資を受けたり長期優良住宅の認定を受ける事とは関係なく、防腐防蟻の対策を当たり前に行っています。阪神淡路の大震災では、木造住宅の倒壊は床下の腐朽被害・白アリ被害により倒壊した事例が多数あったためです。
防腐防蟻対策を行うのはいいことなのですが、その対策に散布される駆除薬の90%以上が劇薬の農薬(有機薬剤)なのはご存じでしょうか?シロアリはゴキブリ目に属します。そのため、シロアリを駆除の薬剤は効力の高いものが多くなり、中国では古くから「ヒ素」を用いたシロアリ駆除を行ってきました。ヒ素は毒性も高く、遅効性があるために巣の全体に効き目が広がる、シロアリに適した薬剤であったのです。しかし、人体にも影響があることから、近年ではヒ素を使用した薬剤を見かけなくなりました。人体への影響に配慮はしつつ害虫駆除という目的の狭間で、一昔前は10年間効力のある強い薬剤が使われていましたが薬剤が強すぎたため使用禁止になり、現在では5年間に短縮された弱い薬剤が使われています。では安心なのかというとそうではありません。
妊婦さんや子ども、ペット等に与える影響
白アリ駆除に使われる一般的な薬剤
妊婦さんや子どもさんやペットへの影響に配慮することよりも、防腐防蟻・白アリ駆除・予防を最大の目的としています。なんといっても白アリが出ない、腐朽菌がつかないことを目的としています。
5年ごとの処理はどうするか?
現在では健康と環境への配慮から5年以上効果の持続する薬剤は製造できなくなっています。5年毎に施工しなければ効果が維持できない事や再施工時には新築時と違って壁体内など施工できない部分が出てくること、施工者や住まい手であるお施主様の健康を害する可能性などが問題として挙げられます。揮発性の薬剤では無く定着して永年効果が持続するものでないと意味が無いのです。
他の先進国の防腐防蟻対策-健康配慮は人権問題

ホウ素化合物
「ホウ酸」という名前の方が覚えが良いかもしれません。このホウ酸は食塩のようなもので、目薬にも使用されているほどの、安全性の高い薬剤になります。腎臓の無い生物にはホウ酸を体内で処理できないため、過剰摂取による餓死効果が期待できます。ペットやお子様が大量摂取しないように、使用量には十分な注意が必要ですが、私たち人類を含む哺乳類への毒性が極めて低い薬剤です。
Premium住宅の防腐防蟻対策-エコボロンPRO

噴霧器もしくは刷毛にて施工します。着色料を添加して施工しています。
エコボロンPROは2011年9月に、公益社団法人日本木材保存協会の認定薬剤として登録されています。
エコボロンPROの主成分であるホウ素は、自然界ではホウ酸やホウ酸塩として存在し、海水や温泉水中に多く含まれています。また、植物にとって必須微量元素であることから、人間も野菜や果物を食べることで日常的に摂取しています。
身近な所では、目薬やソフトコンタクトレンズの保存液などにも使われています。 カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分の吸収にも効果があるといわれており、 サプリメントに配合されていることもあるようです。
人間などの哺乳動物がほう素を必要以上に摂取した場合には、腎臓の浄化作用で短期間に排せつされます。ですので、ほ乳類にとっての急性毒性は食塩と同程度です。 少量口に入ったり吸入してしまったりといった程度では全く問題になりません。
もちろん量の問題はあります。排せつされる量を超えて短期間に大量摂取すれば問題が出てきます。醤油を一気飲みすると生命に危険が出るのと同じようなものです。
エコボロンPROはこの点にも配慮し、苦味成分を配合し幼児等による万が一の誤飲事故を予防しています。
ホウ酸塩は非常に安定しており揮発蒸発することがありませんのでお部屋の空気を汚しません。高気密高断熱構造+床下換気システムを採用するPremium住宅でも、シックハウスの心配は無用なので安心して使うことが出来ます。

ホウ酸塩の高い防腐・防蟻性能は、京都大学などの公的機関により実証されています。エコボロンは高濃度のホウ酸塩を木材の内部まで浸透させ、シロアリ・木材腐朽菌から木材を守ります。
シロアリは、エコボロンPROで適切に処理された木材を食べることが出来ません。エコボロンPROの主成分であるホウ酸塩を摂取したシロアリはエネルギー代謝が出来なくなり、餓死します。また、この効果はシロアリに限らず、ヒラタキクイムシなどの食材甲虫にも同じ作用をもたらします。ホウ酸塩は京都大学、ハワイ大学、Forintek研究所(カナダ)の共同研究チームにより、ハワイオアフ島と鹿児島吹上砂丘で10年来野外試験が続けられ、高い防蟻性が確認されています。
また、エコボロンPROは木材腐朽菌やカビ菌などの菌類に対しても有効です。人の健康な皮膚からはホウ酸塩は吸収されませんが、菌がホウ酸塩に触れると細胞壁を通して細胞内に入り、一定量の濃度を超えるとエネルギー代謝が出来なくなって死滅します。
ホウ酸塩はForintek研究所(カナダ)により、年間降雨量1,000mmを超えるバンクーバーで14年間に渡り 野外試験(L-ジョイント試験)が行われ、高い防腐性が確認されています。
ホウ酸に防錆性能があることも、様々な実験から明らかになっています。エコボロンPROもまた例外ではなく、金属腐食を防ぐ傾向がみられます。住宅を長持ちさせる為には、木造住宅の接合金物を腐食から守る事も大切です。

無処理の問題点-ヒノキ土台+ベタ基礎だけで大丈夫?
現在自然素材による家づくりを得意とする業者さんは、フラット35や長期優良住宅の仕様規定でも認められているので、べた基礎・通気構造などに合わせて シロアリや腐朽に強いと言われているヒノキなどの樹種を使用するだけの「無処理」が人畜無害で良いと防蟻防腐措置としているところが多いです。
べた基礎は、湿気対策・シロアリ対策に一定の効果が得られるものですが、水抜き穴や配管周り、コンクリの打ち継ぎ部などからシロアリが侵入することがあります。また、最近では基礎外側断熱材の使用増加に伴い、外側断熱材を伝って侵入する事例も出てきています。
通気構造は、防腐対策としては一定の効果が得られますが、有効なシロアリ対策とは言えません。シロアリは自ら環境を整備する能力を備えた生き物であり、土を盛って外気を遮断し、水場から水を運搬します。
ヒノキなどの樹種は防蟻防腐性能が高いと言われていますが、同じ樹種でも産地や部位などによって大きなばらつきがあります。また、シロアリにとっては好みでないというだけで、食べられないわけではありません。どんな樹種であっても木材である以上、食害を受ける可能性があります。
天然の防腐防蟻剤だから大丈夫?
ヒノキチオール
ヒバ油などに含まれる「ヒノキチオール」はシロアリに対する忌避効果があります。木材由来の良い匂いがしますので、シロアリへの恐怖症になりかけた方にも最適なのかもしれません。しかし木部用の薬剤としては、駆除効果にはあまり期待できないため、シロアリ予防向けと言えるでしょう。
天然の防腐防蟻剤は匂いでシロアリを忌避するといった揮発性のものが多く、これらは効果が短期間で無くなってしまいます。また、非常に高価なものが多いようです。中には、炭から出るマイナスイオンでシロアリの生態系を狂わせて殺すという製品もあるようです。森の中に多く存在するといわれるマイナスイオンを、森の中に生息しているシロアリが嫌がるというのは不思議な話です。








